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■Mo12・天満月

昨日夢で見たんだ。三日月に腰掛けて、内緒話でクスクス笑ったの憶えてる?
     (the pillows「Rodeo star mate」)


 宇摩(うま)はいつだって突然だった。
 日曜の朝、深夜までコンビニでバイトをしていた僕は泥のように眠っていた。
『久しぶりだね』
 まどろむ僕の前に現れた女性が誰なのか僕にはもう判らなくなっていた。
『そろそろ行くよ』
 うっすらと消えていく女性を見送りながら目が覚めた。幻覚なんだろうか、と目を開けると薄暗い部屋の外がなにやら騒がしい。僕は扉を開けて外を確認した。
 金髪の女。銜え煙草の煙が目の前にあった。僕は咄嗟に扉を閉めた。チャイム連打。耐えかねた僕は扉を開けてしまう。宇摩を筆頭に山中と代田(しろた)が入ってきた。
「曲作るぞー、曲」
「いぇーい」
「初、作詞作曲・有川ユキト」
 彼らは低いテンションでそんなことを言う。来た理由はわかったけれど、イヤなら来なければいいのに。
「作詞作曲って……。作曲なんてやったことないですよ」
「うそつけ……」
 宇摩が言う。
「……」
 本当は中学から五年間くらいやってた。高校を卒業してからめっきりやらなくなったのだ。
「やるか? やらないか?」
「やります、やりますよ」
 僕はギターをアンプに繋いだ。そうだ。さっきの夢を歌にしよう。そう思うと自然に曲が降りてきた。

「何で音楽辞めたんだ?」
 宇摩はいつだって突然だった。持参したカップ麺をすすっている。
「なんで、って……」
 僕は次に詩を書いていた。
「まあ言わなくてもわかるよ」
 じゃあ聞くなよ。
 彼女はスープまで飲み干すと既に寝ている山中と代田の上に乗っかった。
「本当はちゃんとバンドやる予定だったんですよ。……でも、メンバーの一人が裏切った。いきなり出ないって言い出したんだ……。他のメンバーもそれに乗った。だから僕は一人でステージに立った」
「それは、よく頑張ったね」
「……」
「私達は『遅咲きの花』さ。お前はこの花の中心にやってきた」
 彼女は欠伸をして目を細めた。
「寝れば?」
「そうするよ……」
 初めて来る男の部屋でこんなにも無防備に眠れる女性を見ながらも、僕はなにも出来ない。他の男も居るわけだし。
「居なかったらするんだろうか……?」
 しないだろう。そんなに飢えてないし。
 僕はギターを片手にまた詩を書き始めた。
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