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■レッツ シー イフ ザッツ トゥルー オア ノット エピローグ・1




「うぇぷし!」
 僕がくしゃみをすると、その場にいる全員から睨まれた。首都転属になってからずっとこんな感じだ。
「エニモル君さぁ、もうちょっと緊張感持ってよ」
「そんなこと言われても。っていうかヒューナーさん、僕もう帰って良いですか」
 僕と一緒に大きな岩に隠れている上司のヒューナー=フライシュは信じられないと言うような顔をした。
「今どういう状況か、判ってる?」
 違う岩に隠れてる同僚達の気持ちを代弁するかのようにヒューナーは言った。
「労働義務反対派の強硬派がウチの使えない新人を人質に何か騒いでるって言う話でしょ?」
 ヒューナーは曖昧に頷いた。
「その通りだが、『使えない』は言い過ぎだ。彼女はきみを信頼して――」
「だったら何も考えずに突進させるのやめてくださいよ。何時かあぁなると思ってたんですよね……」
「エニモル君……それは言いすぎだよ」
「そして他のライゼエスィヒからライゼを派遣したんでしょ? 何で都市栄転になったのかな」
「都市から栄転するのは名誉な事じゃないか」
「その結果僕ばっかこき使われてませんか?」
「だって、エニモル君戦い慣れしてるじゃないか。首都にはそう言うの居ないんだよね……」
 しみじみとヒューナーは言った。
「もう、僕一人で制圧して良いですか」
「フラウが死ぬので辞めてください」
 遠くの方から声がした。
「デリ君良く言ってくれた! エニモル君、きみは戦闘凶なんだよ」
 他の岩に隠れているデリと言う男や、同僚達からその通りだとやんややんや声が挙がった。
「静かにしないと犯人が怒ります」
 僕がいうと、みんな黙り込んだ。
「来た。他のライゼが来たぞ」
 こそこそ話をするのが聞こえ、見覚えのある赤毛の女が現れた。彼女は僕の隠れている岩のまでしゃがみ、声をかけてきた。
「首都って言うのは初めてなんだ。お前が居て助かったぜ。エニモル」
「やっぱ、メーレンさんでしたか」
「そう。丁度ここいらに来ててね。観光だったんだけど、お呼びがかかっちゃってさぁ」
 メーレンが鷹揚に語る。この人は結婚してからこんな感じだった。
「誰が来ようと同じだ!」
 犯人の叫び声が聞こえ、それに対抗する人質の声が聞こえる。
「無駄なあがきはそれくらいにしたらどうなの」
 メーレンはそれを岩の影から見ると、真顔で僕に言った。
「どうする?」
「メーレンさんが犯人の武器をねらい撃って、その隙に僕が飛び込みます」
「わかった」
 その話を聞いていたヒューナーがたまらず突っ込んだ。
「おいおい、エニモル君。えっと、助っ人のあなた。指揮官は私です。私の指示に……」
「ライゼの人質作らせる指揮官は指揮官じゃない。エニモル、いち、にの、さん。な」
 僕らがヴェステン領で一緒に戦っていたときのかけ声だった。
「判りました。やりましょう」
 メーレンは頷き、指を三本立てた。
「いち」
 僕はアートムングさんから貰った替わりである斧のエレクトールシュナイデを抜いた。
「にの――」
「さん!」
 メーレンが立ち上がり、自慢のシューターで犯人の武器をねらい打った。短剣が宙にとぶ。そのとき僕はもう飛び出していて武器を拾おうとする犯人を蹴り上げるとうずくまったところで首に刃を突きつけた。
「フラウ」
 犯人から目を離さず言った。
「怪我はない?」
「……はい」
 新人のフラウはかなりの迅速さで犯人の腕を縄で締め上げた。こういうときだけ手際が良い。
「じゃあ、僕は用事があるので帰ります」
 今も岩で隠れる上司に向かって言った。
「まだ定時じゃありません! エニモルさん」
 なぜか隣にいたフラウが怒った。こういう風に真面目な子なのだ。だから闇雲に突進して敵に捕まる。
「ヒューナーさんにはもう前からずっと話をしてたんだ。それにきみが捕まらなかったら良かったんだろ?」
 僕がそう言うと彼女は少し涙目になった。
「突進するのは良いけどそれが必要なときは技術と仲間で補いなよ」
 僕はそれだけ言うと駆けだした。
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