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■五月のおだい「子供」

「With the kids sing out the future(大声で未来を歌おう)
Maybe kids don't need the masters(僕らに支配者なんて必要ないぜ)
Just waiting for the little Busters(ただ待ってるんだ。小さくて大きい奴らを)
(the pillows『LITTLE BUSTERS』)」




 五月になって、少しは暖かくなったと思う。それでも何も変わらない。僕はコンビニでアルバイトを始めた。薄給だけど、何とか生きていける。
 僕に、未来なんて無い。きっとこのままなんだろうな。そう思うと、レジを打つ手が止まる。
「おい」
 同僚の男に声をかけられ、我に返った。そして、またレジ打ちを再開する。
 一通り客が捌け、コンビニの中は静かになった。
「お前、何かぼうっとしてるな。大丈夫か」
 同僚の男が言う。確か山中という男だった。若いのだけれど、どこか他とは違う雰囲気がした。
「いや、大丈夫です」
「ならいいけど」
 また客が入ってきた。小さな子供の群れだった。
 彼らは真っ先にレジの真っ正面にあるカード売り場にたむろし、そして騒ぎ出した。たかが長方形の紙のどこが面白いんだろう。そんな風に思った。
「むかしは、こういうの好きだったよね」
 レジのカウンターにポーリーが腰掛けた。余計なことを。
「何だっけ?『神のカード!』とか、騒いでたよねぇ」
 ポーリーは僕の方を見ながらにやにやしている。
「……」
 忘れてくれよ
「ムリだよ。私はキミだから」
 だったら、もう消えろよ
「勝手に生んでおいて」
 そのセリフは、なぜか胸に突き刺さった。
「まるで、子供みたい。『でろ』とか『きえろ』、とか……」
 でろ、なんて言った憶えはないぞ。
「言ってたよ。ずっと、ずっと、ずっと……」
 灰色の世界の中で、彼女にだけカラフルな色が付く。そんな感覚を憶えた。
「言ってない」
 つい、声に出してしまった。山中が不審そうな顔でこちらを見た。
「キミ、今何歳?」
 言いたくないな……。
 ポーリーは微笑んだ。とん、とカウンターから降りて、こちらの方にくると、僕と無理矢理肩を組んだ。

With the kids sing out the future
Maybe kids don't need the masters
Just waiting for the little Busters

 不思議な歌だった。どこかで、聴いたことがある。
 アルバイトが終わり、僕は何かに取り付かれたように家に戻った。捨てようと思って捨てられなかったCDの山をかき分けて、一枚のCDを見つけ、かけた。
 いつの間にか、大声で歌っていた。
 何を。歌だ。歌だよ。
「大声で、未来を歌おう」
 ポーリーが、僕の横で呟いた。
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