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■so long and Hello

バイトミーとか、ショットミー、はたまたショット・サイト・ハーとかと繋がっています。
オムニバス?
ちげぇよ。ただの続編だよ。
っていうか完全に同一人物ですね。なんか、ショートショートで終わらせるには持ったり無いキャラ群なので。






「キミ、キミの家はどこにあるんだい?」
 僕が台所に立っていると、彼女が訊いた。
「え? 一軒家だけど」
「それは以外だった。なら楽そうだ。住所は?」
 彼女はフォークとナイフをカチカチ鳴らしながら言う。
 楽って何だ。楽って。
「……四角ヶ丘の、団地のほうだけど」
「ほほう。ありがとう。……それよりも、まだかね?」
 僕は時計を見た。
「うぅん、もうちょっと時間が必要だと思うけど。キャベツの芯が硬くて良いのなら」
「それは耐え難い。仕方ないな。もう少し待つとしよう」
 彼女はナイフとフォークを机の上に置いたようだった。
 その後、僕らはロールキャベツを食べた。

 土曜日、僕は家にいた。二階の自室で出かける仕度をしていた。祖母の月命日が近づいているのでお墓参りに行こうと思っていた。
 すると部屋の窓が叩かれた。
 最初は気のせいだと思ったが、断続的に叩かれるそれ。そして、声がした。
「あけろー!」
 聞き覚えのある声。まさか。
「おーい! ヨータ!」
 間違いない。カーテンを開けて声の主を確認した。
「まったく。はやく開けたまえ」
 白い肌に長く黒い髪。代田奈々子はミニスカート姿で僕の部屋に侵入してきた。
 僕の家の庭には大きな木が立っているのだが、まさかそれを登って来たのだろうか。白い腕には細かい傷が入っていた。
「……わざわざ、登ってきたの?」
「そうだが?」
 本当にミニスカで登ってきたのか。何というパラダイス。
「普通に、チャイム鳴らせばいいのに」
 一応無難な答えを出した。
「なんだかあの木が『登ってくれ』と言っているような気がしたんだよ? 木だけに」
 その発想はなかった。
 と、いうか昨日わざわざ僕に住所を聞いたのはそう言う理由か。あんなアバウトな情報でよくわかったな。
「で、どうしてきたの?」
「意味はない」
「ないんかい」
 彼女は腰に手をあて、得意げな顔をした。
「そんなことよりも私の探索能力の高さを評価して欲しいね。二時間でキミの家を探し出したんだ」
 それってむしろ探索能力が低いんじゃあ。
「まあ、これも愛の成せる業さ!」
 そう言うと彼女は僕の腕を絡め取った。
「……あの、盛り上がっているところ大変申し訳ないんですが」
「なんだね?」
「今日はお墓参りに行こうと思ってたんだ」
 彼女が僕を見た。どこか気まずさを感じ、目をそらした。
「そうか……。お墓は、どこに?」
「おばあちゃんのお墓なんだけど、吉沢霊園っていうところ。駅で三つくらい」
「遠いのかい?」
「まあ、けっこう」
「……ねぇ」
 急に深刻そうな顔で言うので僕は驚いてしまった。最近は彼女の楽しそうな顔しか見ていなかったから。
「断ってくれて構わないのだけれど、私も、ついていって良いかな?」
「え?」
 彼女は僕の手を離して背を向けた。
「……」
「ダメなわけないじゃないか」
 くるりとふり返った彼女は嬉しそうだった。
「じゃあ行こうか」
 僕らはその後駅へ向かい、霊園を目指した。霊園は山の麓にあるらしく、そこへ向かうバスが出ていた。
 駅前で供えるための花束を買い、霊園に向かうバスに乗った。最後列のシートに座る。
 秋と言ってもまあまあ暑い。窓を開けると風が入る。
「本当に良かったのかい?」
 彼女が訊いてきた。
「何を今さら……」
 彼女はバスから外を眺めていた。
 不意に、彼女が手を握った。
「怖いんだ。誰か、居なくなるのが」
「キミも、今までの誰かと同じように、私の元から去っていくような気がして」
 手を握り返した。
「そんなわけ無いじゃないか。歯形までつけさせておいて」
 彼女がふり返った。そして、笑った。

 霊園に着き、祖母のお墓を目指した。
 祖母の墓標を見つけ、墓標の周りを片づけたりしたあとに花を生けた。
 線香に火をつけ、二人で手を合わせた。
 気が済むまでやって、墓標の前から離れようとしたとき、人影を見た。見覚えのあるシルエット。
 茶色い髪。派手な服装。
「……ッ!」
 心がざわついた。もうこんな事はないと思っていた。
「あら?」
 母親だった。
 ざわつく心を抑え、代田を殆ど引きずるような形で歩いた。
「へぇ……。私の血は争えないのね」
 出来るだけ笑って返し、その場をやり過ごした。
 来たときと同じ方法で帰ってきたはずだが、どうやって帰ってきたか憶えていなかった。ただ、なぜか部屋には代田も居た。彼女は僕の横に座ってずっと僕の手を握っていた。
「あの人、僕の母親なんだ」
「うん。そうだろうと思ったよ」
「あんな所で、会いたくなんかなかった」
「……」
「おばあちゃんのお墓の前で、会いたくなかった」
 部屋は静まりかえった。
 いきなり、指が痛くなった。彼女に握られている方の手。見ると、彼女が噛んでいた。
「イタッ! 痛い! 痛いって!」
 まだがじがじ噛んでいる。完全にくわえ込んで、がっつり噛んでいる。
「やめ、いたッ!」
 彼女が噛むのをやめた。口の中から僕の指が解放された。
「元気出た?」
 出るわけがないだろう。けれど、本当に心配そうな彼女の顔を見てしまった。
「……ま、まあ……」
「本当かい?」
 僕は彼女の頭を撫でた。
「本当だって」
 彼女はくすぐったそうな顔をした。
「元気になったんだね?」
「うん」
「ほんとうに?」
「うん」
「だったら、今日も私の晩ご飯を作ってくれるよね?」
「えっ……」
 彼女はすっくと立ち上がって得意げな顔をして見せた。
「そうだな。今日はハンバーグが良い」
「え、あの」
 彼女はにやりと笑う。
「期待しているよ?」
 嵌められた。
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