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■レッツシーイフザッツトゥルーオアノット 第二章・2




「なんで僕がきみを送らないといけないんだ」
 ライゼエスィヒの前で頭を抱えながら僕はぼやいた。
「いいじゃん」
 早くもリーフェルングに跨っているマックが言った。
「よくないよ……。ヴェンディさんも、何考えてるんだか」
「ねぇ、早く行こうよ」
「そういえば、ニニーさんて、だれ?」
「友達の女の子。何か、意味のわかんないもの売ってる」
「……へぇ」
 僕はリーフェルングに跨っているマックに予備の手袋を渡した。
「寒いから。この時期」
 僕はマックの前に座ると、リーフェルングの電源を入れた。リーフェルングは低く唸って息を吐き出した。そして、ゆっくり走り出した。
 リーフェルングはすぐに馬よりも早くなり、会話も出来ないほど風を感じることが出来た。マックは僕の脇腹を左右につついて指示を出した。右脇腹をつつけば僕は右折し、左の脇腹をつつけば僕は左折する。
 案内されてからしばらくして、大通りから少し離れた所に、小さな家を改造した店を見つけた。そこが、マックの行きたいニニーという少女の住む家なのだろう。
 僕はリーフェルングをその店の前に止めた。
「じゃあ、僕はアートムングさんの家に――」
「あぁ、ニニーもエニモルに会ってみたいって言ってたから、ちょっと話し相手になってやって」
「僕が? どうして」
「あんたは、巷ではちょっと有名なの。自覚ある?」
「ないよ、そんなの」
「私達の中で、旅好きなのはあんただけなの。ほら、ニニーに話をしてあげて」
 無理矢理店の中に入れられながら、なんだよ、それ。と言おうとしてどういう理由か判った。
「あ、いらっしゃい」
 小さな店内で店番をしている少女が微笑んだ。彼女がニニーなのだろう。寒がりなのか頭から足の先まで防寒具を身につけているが、一番目を引くのは木製の車いすだった。彼女は、足が悪いのだ。それで、外に出たことがあまり無い。マックが色んな話をしてやれと言ったのもそう言う理由だろう。
「ニニー、念願のエニモルを連れてきたよ」
「……彼が……?」
 彼女の不審そうな顔を見て、僕は慌てて防風眼鏡と帽子を取った。
「初めまして。エニモル=ティアです」
 彼女の白い顔が微笑んだ。その瞬間はらりと、一房だけ髪の毛が毛糸の帽子からこぼれた。その髪の毛の色は、黒かった。
 テレフォーンだけの色のはずだ。
 声には出なかったが、口がぱくぱく動くのが判った。
「エニモル、どうしたの?」
 マックに言われて、僕は平静を装ったが分かり易かったのか、すぐにばれた。
「この髪の色でしょう? 珍しい色だと良く言われます。この国の人は皆、銀か金か赤かの美しい色をしていますから」
 ニニーは一房出た黒髪をなおしながら寂しげに言った。
「え、いや、そういう意味じゃないんだ。えっと」
「テレフォーンさんも、黒い髪だったよね」
 僕が口ごもっているとマックが言った。助け船を出してくれているのだろうか
「テレフォーン?」
「そう。エニモルの幼馴染みだよね。っていうか、恋人?」
「違う違う」
 僕は慌てて否定した。
「僕は黒い髪の人を今まで一人しか見てなかったから、驚いたというか、何というか」
「私も初めて見たときは驚いたよ」
「そうだったんですか」
 彼女は微笑んでいる。どうやら、怒ったりはしていないようで僕は正直安心した。外見的なことで差別するのはタブーなのだ。
「わたしは、ニニー=サリヴァンといいます。初めまして」
 僕はお辞儀をした。
「じゃあ、早速、色んな話してよ。エニモル」
 マックが言うと、ニニーは期待の目をこちらに向けながらも言った。
「そんな、お仕事中でしょう? 邪魔しちゃだめよ」
「いや、それが行き詰まってるんだな」
「最近出回ってる反政府組織の話? だったら、尚更――」
「いや、このエニモルも出かけようとしてたみたいだから、トンチョクまで行かれないうちに、会って貰おうと思って」
 マックがそう言うと、ニニーはくすりと笑った。どうやら、僕が仕事をさぼってリーフェルングに乗って東の端。このヴェステンと逆方向にある最果ての領地、トンチョクまで行った話は結構有名らしかった。マックの言っていたことはこういう事か。
「今日は引退した先輩に会いに行こうと思ってただけだよ」
「ニニー、エニモルがメーレンさんに跳び膝蹴りをくらって気絶する前にいった言い訳。なんだと思う?」
 僕が反論するとマックはもう思い出したくない話を引きずり出してきた。
「なに? なんて言ったの?」
 ニニーも遠慮なしだ。
「『そこにトンチョクがあったから』」
 口調や声色まで真似てマックは言った。ニニーは文字通り腹を抱えて笑っている。そこまで面白い話だろうか。
 僕はただうつむくだけだった。
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