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■七十一頁

らしく、その準備のため、サークナヤが式中姿を見せることはないだろう。
 そう言えば五年の間、ろくに顔も会わせていないことを少し悔やみつつ、どんな顔になっているのか少し想像を膨らませながら、部屋を出た。

 式は、あっさり終わり、見送りとなった。白銀の鎧を着た兵士達が両脇に立ち、剣を掲げている。
 そこを通るルーシルアは、足を止めた。
「……」
 兵士達の間から、白い布に覆われた棒状のものを持った金髪の男が現れた。
「レーベン」
「一応、言っておくが、俺だって、友達が居ないわけじゃあ、ない。……お前が死ぬと、サクナが悲しむからな。……この剣があれば、安心だろう」
 レーベンは手に持った者を渡すと、兵士達に紛れ、見えなくなった。
 中身を確認すると、黄緑色のうっすら透明な剣があった。剣には、「Swollipeht」と文字が彫られてある。
「……」
 それは、ルーシルアがサウナから貰い、そしてサクナがその身を貫いた剣だった。ルーシルアは無言で、腰の本体がない白い鞘へとそれを納めた。
 また歩き出し、もうすぐ城下町を抜けるというころ、声が届いた。
「ルーシルアッ」
 成人の儀に使うドレスを着て、駆けてくるのは、サークナヤだった。金髪を短く切った碧眼の可憐な少女は、面食らったルーシルアに、一発平手打ちをすると、怒鳴った。
「お別れのあいさつもないの?」
 ルーシルアは気まずそうに顔を逸らし、にやにやする兵士達を視界の隅に追いやった。
「い、言おうと思ったさ。けど、君はいろいろ忙しいだろ?」
「それで気を遣ったつもり?」
 視界の隅では兵士共がなにやら物騒なことを喚いている。
「……お嬢様に血なまぐさい男は、必要ないだろ?」
「それが、理由?」
 もしかしたら、旅に出る前に死ぬかも知れない。そんなことを考えながら、ルーシルアは恐る恐るサークナヤの目を見た。
「……あぁ」
 と、答える前、視界がサークナヤでいっぱいになった。
 何をされたのか判らず、狼狽して二、三歩後に下がった。だが、唇の感覚と、周りの囃したてる声が、それを悟らせた。
「お……おま……ッお、おまえっ」
「はいこれ」
 サークナヤは、金色の懐中時計を取り出し、有無を言わさずルーシルアの首に抱きつくような形になりながらまいた。その顔はルーシルア同様真っ赤である
「はい、いってきなさい」
「……」
 勝手に進んでいく話に、ルーシルアはどう反応して良いか判らず、言われたとおり後を向き、歩き出した。
「ちゃんと、帰ってきてね」
 後の方からサークナヤの声がする。
「絶対、帰ってきてねーッ」
 ルーシルアは足を止めることなく、振り向きもせずに手を振った。
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