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■七十頁

 ルーシルアは自室のベッドの上に座ってあぐらをかいている。ムラースの特訓を抜け出したのだ。
「……」
 思い詰めたような顔をすると、ルーシルアはすぐに立ち上がり、部屋を出た。
 碧い廊下を歩いていたルーシルアは足を止めた。
 目の前にある木製の扉にノックし、返事を待つ。
「はーい」
 声が聞こえ、中に入った。
 様々な家具が置かれているが、どれも年相応の女の子の選ぶようなものではないので、きっとサクナのお下がりだろう。と部屋の中のものを一瞥しながら思った。
「あ、ルーシルア」
 机に向かい、眼鏡を掛けているサークナヤが言った。ここ数日で城の暮らしに適応しきっている。
「どうしたの?」
 机の上には教材らしきものがあり、ペンとインクでさらさらと文字やらが書かれている。
「ん? ちょっと、報告に」
 そう言うと、サークナヤの顔がかげった。
「……すぐ? それとも、ちょっとしてから行くの?」
「ん、すぐってわけじゃないな。お前が成人するまでだ」
「それって……あと、五年?」
「そう言うことになるな」
 サークナヤはルーシルアの顔をまじまじ見つめた。
「……短い……」
「そうか? 十分だと思うね。それが終わったら、永遠に世界をさまようのさ」
 ルーシルアは笑った。自嘲的でもなければ、爽やかでもない、ちょっと意地の悪い笑みである。
「……戻ってこれる?」
「いつか、必ず。戻ってくるよ、お嬢様」
 ルーシルアはそう言うと、サークナヤの部屋を出た。そのあとすぐ、ルーシルアはムラースに捕まった。



 あれから、五年も経つのか、と仕度を終えたルーシルアはにやりと笑った。ついに来てしまった別れの時だというのに、笑わずしていられない。
 自分の身体は未だに衰えを見せない。そのことも、妙におかしい。
 笑って、煙管を取り出して口にくわえる。吸わないが、気分だけを味わう。
 いつの間にか将軍という地位にいた俺を見送る儀は、サークナヤの成人の儀の前に行われる
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