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■六十九頁

勿論、本来はもっと厳粛に行われるはずである。
「……王よ、これは、どういうことだ」
「心配せずとも、君が望む判決は、もう決しておる」
 ルーシルアは内心ほっとした。
「そして、君が死にたがっていることも、よく理解しているよ。ルーシルア」
 王はやさしく告げた。ルーシルアは、ようやく死ねるのかと期待した。
「……判決を、言い渡そう」
 ざわめきの消えなかった場がしんと静まりかえる。
「その前に、年寄りの戯れ言を聞いてくれ」
 ルーシルアが頷く間もなく、王は語った。
「私は、……娘に、完璧を強いてきた。髪、爪の長さ、体のバランス、目鼻立ち、すべて、強要してきた。国民には、美しい人が必要だった。……私の、責だ。娘を殺したのは、私の完璧主義だったからなのだよ。」
 ルーシルアは黙って、聞いていた。
「判決を、言い渡そう。ルーシルアの永久的国外への追放、そして、特殊任務〈O〉を、言いわたす」
 愕然とした。ルーシルアが、だ。死ねると思っていたのに。
「……これで、閉廷だ。ルーシルア……、私は、今でも彼女を虐げた罪を、背負っている。死ぬのは簡単だ。……一生、彼女を守れなかったことを、共に、悔いていこう」
 王は、碧い目をもって、ルーシルアを見つめた。
 ルーシルアは天井を仰ぎ、目から涙が溢れるのをただ感じていた。天井を通り越した空には、月と一緒に、淡い光の星々があった。
「それが、彼女が最も望み、喜ぶ事ですか? ――気丈な笑みを、見せてくれますか?」
 王は、何も言わなかった。

 王室に呼び出されたのは、裁判から一週間のことだった。毎日のように行われる、ムラースとの一騎打ちのせいで、 痛む節々を気にしながら王室であったことを思い出す。
「刑、特殊任務の執行までの猶予は、サークナヤ……お前が連れてきたサークナヤの成人の儀までだ」
 王室の国王は碧の王服で言った。
 ――五年間もずっと……。と思いながら、説明を聞く。
「特殊任務〈O〉は……、〈オーガーイー〉というミドルスペルを刻み、世界を懐疑しことわりを追い求めるもののことだ」
「主に、何をすれば?」
「……〈銀の国〉で君がしたように、人々を救うのだ。〈真実を求める者〉として」
 それ以外に、説明はもう無かった。
 そのやり取りを思い出し、少しいらいらする。あんなの、まぐれだって。そう言いたかったが、言えなかった。
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