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■六十七頁

「目立ちまくりだな」
 おひらきとなった闘技場に未だつったっているルーシルアに、背後から声をかける姿があった。ムラースである。
「……ドーモ」
 振り向きもせず、ルーシルアは言った。後で、かちゃりという音がし、背筋がぴん、となった。
 ルーシルアがぎこちなく振り向くと、そこには剣を抜いたムラースが居た。ダラダラと脂汗が滝のようにながれ、一歩下がった。
「どれだけ進歩したか、見てやるよ」
 その覇気が、ルーシルアを捕らえた。

 頬を風船のように膨らませたサークナヤは、黄色いドレスに着替えさせられ、侍女達の言うこともきかず、絨毯の敷かれた床の上でごろごろしていた。
「さ……サクナ様……」
 昔の王女と同じ名前であったサークナヤは、その呼称に対して、噛みつくように言った。
「サクナじゃない。サークナヤだ。金色の髪で、似てるかもしれんが。私は、サークナヤだ。それ以外の何者でもない」
 その口調には、王としての気品があった。
「だいたい、なぜ私なのだ。私は〈黒の国〉の生まれなのに」
「……神より、すべてを率いる力があると認められた者は、どこの国の王にでもなれるのです。」
 黒髪の侍女は、言った。
「こんなこと、きっと国民はゆるしやしないのではないのか?」
 侍女は、どういう意味か判らず首を傾げた。
 沈黙の後、サークナヤは「あぁもう」とかんしゃく気味に言い、こういった。
「今まで違う国にいた小娘が、金色の髪だと言うだけで、……赤の他人と言っても良いような……、全く関係の無かった国を、継いでいいものなのだろうか」
 侍女は、体を起こしたサークナヤの目の前に、鏡を置いた。
「……サークナヤ、あなたは、綺麗です。とても」
 面食らったサークナヤは、ぼそぼそ口ごもった。
「か、身体は、傷だらけだぞ」
「傷はいつか消えます」
「……それは、侍女として、言っているのか? それとも……エレヌとしてか」
 エレヌというのが、サクナにもつかえていた侍女の名だった。
 サークナヤの背中に、暖かいものが触れた。抱きしめられてるのだと知ったのは、鏡で確認してからだった。
「そんなの、決まっております」
 肩のエレヌが言った。
「エレヌとして、でございます」
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