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■六十六頁

 ルーシルアは、そんな視線は気にせず、片手で剣を握っている。
「……ッ」
 レーベンが駆けた。
「お前を殺し、あの少女も殺しッ! お前のすべてを、うばってやるっ! お前が俺にしたように! ルーシルアァああ!」
 それは殆ど悲鳴に近かった。
「……レーベン」
 レーベンの振るう剣をルーシルアは片手で受けながら、目を伏せた。
「諦めたか! ルーシルア!」
「……レーベン……」
 目を伏せながら、ルーシルアは確固たる口調で言った。
「お前は、どうしてこっちに来てしまったんだ」
「うるさいっ何様のつもりだ!」
「……サクナは、俺たちに、幸せになって欲しかったんじゃないのか?」
 レーベンの連撃は勢いを緩めず、より強烈になっていた。
「お前がっ! 俺にっ! 何様のッ! つもりだぁッ!」
「おれが、気がついたときには、もう遅かったよ。俺は、戦う兵器になっていた。……お前にだけは、幸せで、いて欲しかった。血で汚れず、あいつができなかったことを……。あいつが、周りの目ににとらわれて、できなかったことを、俺たちにっ――やって欲しかったんだよ!」
 ルーシルアが、レーベンの剣をはじくと、その剣は宙を舞い、闘技場の天井まで飛び、そこに刺さった。
「……殺せよ」
 レーベンは言った。ルーシルアはふん、と鼻を鳴らすと、言った。
「友達が沢山居る俺でも、お前が死ぬとさすがにかなしいからな」
 レーベンが何か言う前に、ルーシルアはさらに叫ぶ。
「王よ! 裁判の用意を!」
 会場がざわめき、罵声などであふれかえった。さらにそれを上回る声で、ルーシルアは叫んだ。
「問おう! 王よ! 裁判をする気があるのか、無いのか、どちらだ!」
 ここまで来ると、無礼も清々しい。
 すると、手前の観覧席で、立つ姿があった。王のカミンズである。少し痩せているが、見慣れた姿だった。
「……〈シンズ〉よ、要求通り、裁判を開こう。……用意の間、待て」
 王の声は厳粛に告げた。
 ルーシルアは剣を鞘に戻し、頭を掻いた。
「できるだけ、はやく頼むぜ」
 ルーシルアは、噛みつくように言った。

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