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■六十三頁

 城の門の前には、屈強そうな兵士が立っていた。
「……ここから先は、通れん」
「昔は、結構楽に通れたんだけどな」
「……サークナヤ様がお亡くなりになってから、この城の警備は強化されたのだ」
 このサークナヤとは、レーベンの幼馴染みで、ルーシルアを拾った、〈碧の国〉の王女であるサクナのことである。
「へえ。そうかい。……で、誰が殺したかは、知ってるかい?」
 となりにいるサークナヤが、あからさまにぎょっとした。
「……護衛だったルーシルアという男が、やったというのが噂では有力だ。何せ、行方不明だからな」
 どうやら、レーベンは私怨で俺を追っていたらしい。と、誰にも聞こえないように呟いた。
「んで、その男かやったと思うかい?」
「……私は、そうは思いたくない。まだあどけなさの残る二人が、仲良しそうに、話していたからな。……しかし、もし、それが真実だとすると……人は、とてつもなく恐ろしいものだということになる。」
 ルーシルアは鼻を鳴らした。
「城に入って、叫んで伝えてこい。」
「なに?」
 兵士の顔に疑問の表情が浮かぶ。どうやら、不審な人物だと警戒しているらしかった。
「……こう、伝えろ――」
 ルーシルアは息を吸った。
「――この、〈碧の国〉一の有名人! ルーシルア・アファンが! 今ここに、〈シンズ〉の烙印を押されに戻ってきた! 今ここに、裁判を要求する!」
 高らかに謳った。
 通りからはざわめきが波となって伝わり、城下町をぎゃあぎゃあと騒がせた。
 噂は一気に城中を飛び交い、さて、誰が迎えに来てくれるか、レーベンだったら嫌だな。だとか思いながら、ルーシルアは城門の前にあぐらをかいて座り込んだ。サークナヤは隣でおどおどしている。
 そして、人影が、あった。
 褐色の肌に、白い髪。その巻き毛を見て、ルーシルアはぎょ、っとした。全く期待していなかった相手。正直一番会うのがいやだった相手が、かつかつと革靴をならし、近づいてくるのが見えた。
 とんでもない速さで立ち上がり、右手でびし、っと敬礼しようとする声を、何か、ただならぬ気配が止めた。
「……ルーシルア……戻ってきたのか。今さら。」
「……ムラース将軍」
 その声には、当然、怒りがあった。
「……すみません。逃げまくったら、三年経ってました」
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