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■六十二頁

「これ以上は、毒です」
「俺は早く行かないといけないんだ。何せ、俺を待ってるヤツが、沢山居るんでね」
 と、いってヤーが抱えている大きなボトルをこれまたぶんどると、一気に飲み干した。ヤーが止める隙すらない。
「……苦いな、予想以上に」
 ルーシルアは口をぬぐった。
「……今夜は、傷がふさがる痛みで寝られなくなるでしょう」
 少し呆れた風だったが、あくまでもやさしくヤーは言った。
「痛いのは、慣れっこだよ」
 ヤーは苦笑すると、出ていった。

 痛みは予想以上に酷かったが、すぐに止んだ。
「……」
 寝ようかと思ったが、寝れない。なんだそれは、と思いながら身体を横に立てた。
「……明日には、〈碧の国〉か……」
 今日も狼達に囲まれて眠るサークナヤをみて、ルーシルアは呟いた。
「……死刑か……たぶん、そうなるだろうな」
 慰めるように、狼の一匹が頬を舐めた。
「なんだよ。同情はいらねーぞ」
「……それが、それが……俺の、斎だ」
 ゆっくりと、ルーシルアは闇におちていた。
 今度こそ、空に月はなかった。

 ヤーに最後の別れを告げ、この美しい地中都市を後にした。
「いつか、また来るよ」
 ヤーのほかに、狼達も少し寂しそうだった。
「お前等、あんまり迷惑かけるなよ?」
 狼のうち一匹が、「ばう」と吠えた。「心配するな」。そう言いたげだ。
「じゃ、行って来る」
 ルーシルア達は外に出た。太陽は高くあがり、〈碧の国〉が目の前にあり、壁に囲まれた城下町は、活気に溢れている。
「……っと、かわんねえな。ここは」
「ルーシルア、本当に、良いの?」
「大丈夫さ。……サクナを守れなかった罪を、レーベンから逃げた罪を、今、ここで、すべて……償ってやる」
 そう言って、ルーシルアは堂々と通りを歩いた。一直線に行けば城につき、そして様々な手続きの後、裁判権を獲得するために、誰かと戦い、勝ち、そして裁判をし……おそらく、ルーシルアは死ぬだろう。


しがらみを抜け、クライマックスへ
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