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■六十頁

「やはり、憶えていませんか。そうですよね。……仲良く、遊んだものですが。」
「……?」
 ルーシルアは不思議な気分になった。こんな少女は、見覚えもない。だが、どこか懐かしいのだ。そしてその気持ちはどんどん大きくなった。
「あ、拾うの――」
 地面に散らばった棒のようなものを見て、ルーシルアはそれを一つ拾うと、見入った。剣だった。鉄剣だった。
「これ、貰っていいか」
 少女は頷いた。
「……ごめん、おれ、行かないといけない。――ごめん」
 少女はしばらくルーシルアを見つめ、頷いた。
 ルーシルアはまた走り出そうとして、足を止めた。
「俺は、ルーシルア。君、名前は?」
「……ファンタン。また、いつか会えるといいね」
 ファンタン――「正義の使者」を意味するその言葉に、ルーシルアは微笑んだ。そして、去った。
 ルーシルアの去った場所で、ファンタンはしばらく雷に打たれたように呆然と立ちつくし、そして、後を追った。



 顔に何かが当たる感触で、目が覚めた。
 さっき見た夢を思い出しながら、何となくため息をついた。
 ルーシルアは石の部屋で寝かせられていた。天窓から朝日が差し込んでいる。いま横になっているベッドも、表面は柔らかいが、中の方は石らしい。
 また、顔に、頬に何かが当たった、湿った感触。そっちの方を見ると、銀狼がルーシルアの頬を舐めている。若い。
 半身を起こして周りを見ると、銀狼達が仲良く寝ている。その中に、サークナヤも混じっていた。
「……」
 どういう夢だろうか、と思いつつ、半身を起こした影響で腹部に激痛がはしり、そこを押さえながらベッドに横たわった。
「……」
「お目覚めですかな」
 天窓から覗く太陽の光を見ていたところに、声がかかった。
「よく、眠れましたか、ルーシルア殿」
 となりにいる銀狼が、おとなしく座っている。気性の荒い狼に至っては、かなり珍しい事と言えた。




ルーシルア出生の秘密!

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