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■五十五頁

「……レーベン……」
「……!」
 その光景は、端から見れば、ルーシルアがサクナを殺したようだった。
 芝生に箱が落ち、蓋が開くと同時に、か細い旋律を奏でた。
「……お前……ッ」
「……」
 否定もできないまま、気がつけば一目散に逃げていた。
 背中からは、誰かの、悲痛な、叫びが聞こえた気がした。



「……」
 沈黙――。
「あいつの言うとおりだ。俺は、お前を、利用していたのかも知れない」
 沈黙を破って、ルーシルアが言った。
「ルーシルア、その話は、本当?」
 サークナヤが訊いた。
「あぁ。……お前にだけは、真実を話さないと、いけないだろ」
「……私が、〈碧の国〉に行こうとしたのを、手伝ってくれた理由は?」
「お前が、サクナに見えた。うり二つだった。……本当に、すまん。……俺は、俺は……」
 そう言っていると、頬に何かが当たった。サークナヤの拳だった。どうやら、殴ったらしい。
「……サークナヤ?」
 やはり、失望されたのだろう。自分でもそうする。というルーシルアの思考を、サークナヤが気丈な笑みを持って吹き飛ばした
「昔のことは昔のこと! で、あたしを、〈碧の国〉に連れて行く? 行かない?」
 それにつられてルーシルアも笑った。
「連れて行く。必ず。」
 ルーシルアは、その強い眼差しで、サークナヤを見た。
「〈碧の国〉の近くに通ずる、地下トンネルがあるらしい。そこを、通ってゆこう」
 サークナヤは頷いた。
 真夜中なのにもかかわらず、ルーシルアの周りに動物たちは寄りつこうとしなかった。ルーシルア自身、呪いの存在を忘れていた。

 明け方、ルーシルアはサークナヤを背負いながら、地下トンネルの入り口を見つけた。周りは、さびれ、誰も住み着かなくなった炭坑街である。炭坑から何も出なくなり、それが丁度〈碧の国〉へ伸びていたことから、〈碧の国〉とを繋ぐトンネルをつくったのである。しかし、そのトンネルを囲んでいた街人が、疫病で死滅したことから、誰も寄りつかなくなってしまった。
 サークナヤの寝息をききながら、中に入る。暗いことを覚悟して入ったが、思ったよりも、随分と明るい。
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