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■五十三頁

たルーシルアは、嫌な予感をひしひし感じ取った。そんなことも顔に出さず、彼が言うのを待った。
「出ろ。そして、あのお嬢様に自慢してきな。その間の警護は、あたし方で何とかする」

 そうして、ルーシルアのかけがえのないものを失うきっかけとなった、事件は起きた。

 少年は奔っていた。
 雨で大会が潰れなくて良かったと思わせる曇天の下、ルーシルアは奔っていた。
 木々を飛び越え、庭園が見えた。庭園に、見覚えのある女性が、ちらりと、だがはっきりと見えた。手にある優勝証書を握りしめ、奔った。
 だが近づくごとに、どうやらもう一人いることが分かった。それを見た時、レーベンかと思ったが、違う。みすぼらしい格好で、サクナを押し倒し、剣を振るおうとしている。
 ルーシルアは一気に駆けた。
 剣が振るわれる瞬間、ルーシルアは男の後に入り込み、剣を抜きざまに胴を真っ二つに切り裂いた。
 男の上半身と下半身がズレる瞬間、ルーシルアは目にした。
 振るわれる前だと思っていた男の剣が、横に一閃、振るわれているのを。
 崩れ落ちる死体など目にもくれず、サクナの所に一直線で奔った。
 右の目尻から左の目尻まで、傷が奔っている。
「サクナッ! ぼ、ぼくだよ」
 つい叫んでいた。
「……ルー? ……よかった……そこに、居るの? 真っ暗で、何も、何も見えない。私、どうしちゃったの?」
 恐怖がはしる。
 サクナはもう、目が、両目が、見えなくなってしまっていた。

「すまない」
 ムラースの第一声だった。
「……」
 ルーシルアは何もできずにいた。王との謁見がすみ、報告が終わり、今回はすべてムラースが責任を持つことになった。
 王との謁見の時、王の失望のため息が聞こえた。絶望ともとれた。国王は子供を作る能力が失われているらしいという噂が、それで確信的になった。
「……ムラースさんは、悪くない。すべて、僕のせいだ」
「いや、俺の責任だ」
 らちがあかない。そう思い、ルーシルアは口を閉ざした。

「あそこに、ほら」




カコバナも終わりですねー

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