■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■五十頁

を、久しぶりに見つけてしまった。
「いいえ、どうですか? ルー……ルーシルアは」
 記憶を埋めつつ訊く。
「……凄い吸収率だな。あいつは。……飢えた狼に餌を与えている気分だ」
「……そうですか」
 ムラースは凄腕だと知っているので、それにルーシルアが誉められていることを知り、嬉しいような、哀しいような気分になった。
「なんだ? 嫌か? 飼い犬をとられて。猫か?」
「猫です」
 自分でも今の答えに違和感を感じつつ、さらに意地の悪くなる笑みをするムラースをばれないように睨んだ。
「猫か……。あいつは犬だな」
「……」
「軍用犬にするのに丁度良い人種だ」
 その答えに、寒気を感じた。それが取れる頃には、それをもたらした者はもういなくなっていた。

 少年は、血を吐いた。
 薄暗い、石を削って作った部屋の中だった。
「……もう、限界か?」
 失望の混じった声。
「……まだッ、戦える」
 女が微笑んだ。寒気がした。
「いいぞ。それでこそ、狼に相応しい」
 金属音が、寒気も、疲れも、すべて吹き飛ばした。



「……」
 サクナはふと、二年も姿を現さない、自分の飼い猫を思い出し、強烈な不安に襲われた。
 高いベランダの上で、下には多くの兵士が並んでいる。
 いっそのこと、戦争でもあればいいのに。この国が平和だから、あの気味悪い部屋から、二人が出てこないのだ。と、一国の王女らしからぬ事を呟きながら、闘技場の練習を見ていた。いつかの魅せる剣ではなく、戦う兵士を選抜するものだった。
 ルーもいるかな……といつの間にか考えてしまう自分の頭をどうにかしてぶっ飛ばしたい。そう思いながらそれを眺めた。
 そう言えば、今日、自分を護衛する兵士も変わったのだと聞いて、周りをきょろきょろ見渡した。居るわけがない。そんな簡単にばれる場所にいたら、護衛なんて務まるはずがない。
関連記事
スポンサーサイト

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

プロフィール

KANTA

Author:KANTA
Are you alien?

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。