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■四十八頁

 この人の言うことは、すべて冗談に、嘘のように聞こえるなぁ。そう思いながら、それを見た。
 もうルーシルアが城にきてから、何週間か経った。だが、ここに来るのは初めてだった。
 次々と倒され、手を合わせていない者は一人も居なくなった。
「だれか、いないのか!」
 場が黙る。誰もが顔を背けている。
「……腰抜けどもめ」
 レーベンがそう言った瞬間、誰かが立った。
 ルーシルアだった。その眼差しは、レーベンのみを写していた。
「……お前、戦えるのか」
 ざわめきがおこった。ルーシルアは、山猿とか、そういうあだ名で通っていたため、それは殆ど嘲笑だった。
「……ルー?」
「……」
 ルーシルアは黙っている。
「おい、あいつに、木剣を渡してやれ」
 そう言われて、さっきまで剣をまじわせていた男が、ルーシルアに木剣を手渡した。
 礼一つ言わず、ルーシルアはレーベンを睨みながら、円い線の中に入った。
「……こい」
 レーベンが言った。静かな闘志が見えた。
 刹那、ざわめきが大きくなった。嘲笑などではない。感嘆の声だった。
 ルーシルアが片手で振った剣を、レーベンが両手を用いて防いでいる。反撃もできそうにない。それほど苛烈な一撃が、延々と続く。
 ――なんだ、同じ事だ。叩く、叩く、叩く。それだけだ。
 ルーシルアが叫んだ。声が奔って、耳とらえた。
 ――あぁあぁっ
 ルーシルアが両手で振った剣が、大きな音を立て、レーベンの木剣のぶつかったかと思うや、盛大な音を立て、ひしゃげ、へし折れた。
 さらなるざわめき――
「……」
 息を切らし、脂汗を垂らしながら、レーベンは一歩下がり、その場に尻餅ついた。
「……」
 ルーシルアはそ、っと木剣を床に置くと、サクナがじ、っとこっちを見ている。
 た、っとはしった。――あ、きっとレーベンを心配しに言ったに違いない――というやりすぎたかもしれないと言う後悔の念が襲ってきたかと思うと、それが、吹き飛ばされた。
「ルーシルア……」
 抱きしめられていた。細い声だった。心の底から心配されているのが判った。
 レーベン達が、目を丸くしながら見ていた。
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