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■四十五頁

「五年連続で〈碧の国〉の少年剣術大会で優勝していた覇者、バッムンを圧倒的な実力でたおした、ルーシルア・アファン。あんたを知らない人間はいない」
 世界の中心、多世界国家〈碧の国〉で行われる少年剣術大会は、つまり未成年、十五歳以下の剣士の中で最強を競うものだと言えた。
 その中で、見事優勝したルーシルア。その実力は、納得できた。
「……昔の話だ。」
「まあね。あの後、お前ら二人に、多くの人間が失望したよ。ルーシルア。ま、俺にゃぁ関係ねー。……あんたの剣術は、本物だ」
 青年は、何かを投げた。布の束のような物であるらしい。
「服だ。外套にくるまって、〈碧の国〉に行くわけじゃないだろ?」
「……ありがとよ。」
 ルーシルアはまたサークナヤを背負って、また走り出した。
「……名前は?」
 ルーシルアが聞いた。
「……ハーン」
「としは?」
「今年で十八」
 ルーシルアは笑った。
 ――俺とあんまかわんねえじゃねえか。そう思いながら、城の外に出た。
 森の方に行く途中、井戸を見つけ、水を勝手に借りた。サークナヤに体を拭かせ、その後服を着せた。
 運動性に優れる服で、ルーシルアは自分の服よりもこっちの方が高いんじゃないか、都一瞥して思ったとき、ふいにサークナヤが言った。
「私のお母さんね、お父さんとお兄ちゃんが去年死んでから、“おかしく”なったの」
 表情を変えないように気をつける。
「……病気だったの。それで、私も病気で死なないように……う、っぁ、あぁ……」
 ついに泣き出してしまったサークナヤを、しゃがんで抱きしめた。
「……もう、もういい……」
 耳元で、洟をすするサークナヤを抱きしめながら、ルーシルアは、長く留めていた物を、壊した。
 呪いの濁流がルーシルアを呑み込むと、目を瞑り、喋りだした。
「……面白くもない、昔話を、してやるよ」
「むかしな、ある所に、一人の少年が居たんだ。」



 少年は、屍の上に立っていた。
 森の中だった。
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