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■四十四頁

むしろその少女の方がルーシルアを見ているようだった。
 呆気にとられ、空を切る音が聞こえると、少女の悲痛の声が聞こえ、反射的に叫び、剣を抜いた。
 ――だぁあっ
 自分の叫びで正気に戻り、女と少女の間に入った。
「……サークナヤ、大丈夫か?」
「……ルーシルア?」
 声でやっと自分を助けたのがルーシルアだと気がついたサークナヤは、縛られた手足で身じろぎした。全身真っ赤で気がつかなかったが、何も着ていないらしい。
 たまらず、自分の着ていた、これも緋色の外套をサークナヤの身体にまこうとして、手を止め、剣で縄を斬り、また身体に外套をまいた。
「……斬った……。あぁ……。きったぁ……。き・っ・た・ぁ……」
 ぶつぶつと呟くその女が、酷く狂って見えた。いや、狂っているのだ。
「……お母さん……」
 それを聞いてまた絶句した。こいつが、サークナヤの親であるらしい。
「……」
 間違いなく、狂っている。娘に動物の血を塗りつけて、縄で縛り鞭で叩くのだ。これが嫌でサークナヤはここから逃げ出したのだ。これを知ってバッムンはわざと逃がしたのだ。それなのに、自分は一体何をしていた? なぜ、もっと早く、助けてやらなかった? この少女は、ずっと、ずっと、これに耐えて……
 ――ルーシルア……
 気がつけば剣を振るう自分の手を、呪っていたはずのものが止めた。
「……」
 怒りを呑み込んで、サークナヤを抱きかかえ、駆けた。いつか、そうしてやったように。
 下がる階段が無くなるまで下がり、出口を求めて奔った。
 黒い人影。壁により掛かっている。
 ルーシルアが足を止めると、それはゆっくり歩いてきた。窓から差し込む月明かりが、その顔を照らす。
 さっきの青年だった。
 サークナヤをおろす。
「……どこへ行く? ルーシルア」
「どうして俺の名を知っている」
 まっとうな質問だった。
「〈碧の国〉では、有名だよ。お前さんは」
 ルーシルアが舌打ちした。
「『そのこと』は今から償いに行くつもりだ。」
「あぁ、違う違う」
 青年は右手をひらひら振ってそれを否定した。










サークナヤのお母さん病んでます。心が。
夫と長男(サークナヤの兄)が疾病で死んで、残ったサークナヤくらいは幸せにしようと考えたあげくがコレ。
怖いッスねー。
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