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■三十六頁

後ろのクンファーに抱きついた。周りの目など気にしていないようだ。
「クンファー、どこにいってたぁ?」
 子供その物と言える口調。
「言っただろ? 友達を連れてきたんだ。こいつが、ルーシルア。」
 クンファーが指差し、女がこっちを向く。
「……」
 きょとんとした顔。
「……あいさつ」
 クンファーの一言。まるで父親と娘のようだ。
 女がクンファーから離れ、ぴし、っと立つと、きびきび告げた。
「このたびは、ありがとうございます。わたくしは、リセ・ゴドーク・ベビアン・スタースです」
 そう一息に告げると、クンファーの方を振り向く。クンファーはやさしく頷き、リセはうれしそうにまた飛び付いた。その頭を撫でる。飼い主に甘える猫と、その飼い主のよう。
 は、っとしてきがついた。口調が幼いから気づかなかったが、身の丈が、何とクンファーよりも高いのである。口調が幼いので、小さく見えたが、実際はかなり大きいようだ。
「……あなた……」
 不意に、リセの澄んだ声が耳に入った。
 目が合う。哀しい顔。弱々しく微笑む。
「あなたは、なぜ、今、ここにいるの?」
 その問いは、ルーシルアにしか判らず、理解できず、答えられない質問だった。一挙に視線が集まるのを感じた。
「あなたは、本来、もっと、違う場所にいるべきでは?」
 凛とした口調。
「心配は要らないよ。今、向かってるところだ。……今まで、逃げていた、避けてきた、行くべき、俺が本来あるべき場所へ、行くつもりだ」
 強く、弱々しい微笑を浮かべていった。
 リセは頷くと、クンファーの方を向いた。
「いよォ、優男」
 かかる声。ルラムである。
「てめェのために、収容所を襲ってやったんだ。感謝しろよ?」
 今までの気分をすべて吹き飛ばすような強い笑み。
「男装馬鹿が何を偉そうに」
 ルラムの眉間に皺が入った。
「あァ? そこは、『ありがとうございます、ルラムさん。このご恩は忘れません。もう感謝しきれないくらいです』」云々。
 聞き流し、話を遮る。
「エネトゥス、シャン、ありがとうな」






リセがやっと来た。
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