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■三十三頁

もくもくと白い煙を吐き出している。
「数ヶ月ほど前、一人のベビアンがここに、お前を訪ねたはずだ。」
 市長の身体が震えた。顔の笑みもぎこちない。
「彼女は、その純粋なる瞳で、お前を見たはずだ。そして、こう問うたはずだ。『なぜ、この都市に独裁者が居るのか』と」
 ベビアン。人間の世界から遠く離れた純粋無垢な種族。その藍色のその瞳には、常に自分の真の姿が映る。美しい行いをしていれば、それは美しく映り、醜い行いをしていれば、その姿は醜く映る。それだけで、人を逆上させるには十分な力があると言えた。
「……お前が俺の、リセを、捕らえ、何をしているかは知っている。……はやく、解放してくれ。……あいつ、痛いの苦手なんだ」
 クンファーはやさしく微笑んだ。
 市長は後ずさり、大声で叫んだ。
「アダァアアイブッ」
 どこからともなく、銀色の鎧を纏った男が現れた。
「……まっ――」
 それを止めようとするが遅く、黄金に輝く紙が現れると、その光がクンファーを包んだ。不意に、クンファーが呟いた。
「……」
 細く呟いたその声は、すぐにかき消された。だが、ルーシルアにはちゃんと届いていた。

 ――後は、頼んだ。
 クンファーの、言葉。それを、夜になる前、ルーシルアは宿の部屋でそれをおもむろにとりだした。
「……」
 腰に剣があることを確かめ、腰掛けていたベッドから腰を離した。
 勢いよく飛び出すと、目の前に見覚えのある三人が立ちはだかった。三人とも、叱責するような眼でルーシルアを睨んでいた。
「どこに行くつもりだ」
 エネトゥスの声。いらだちがあった。
「まさか、収容所に一人で行くつもりかァ?」
 半眼のルラムが言う。左手は腰に当ててある。
「無謀です。私達と一緒に行動すれば、いつか、必ずあの男を失脚させ、この都市に改変を――」
「収容所にはいかない」
「あァッ? だったらどこに――」
 ――ばりっ
「俺が、あの男を、跪かせて、問うてやる」
「……何をだ」






プリズーン編もいよいよ終わり。
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