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■二十三頁

 男の首筋に、戦慄が奔ると、赤い血が噴き出した。男は、そんな傷は無いと思わせるほど平然と、ふり返った。
 微笑んでいた。やさしく。気丈に。
 ルーシルアの胸になにかが走り、亀裂を生んだ。苦い何かを押しとどめて、強い顔でそれを見据えた。
 男は斧を地面に落とし、さっきまで斧を握っていた手で、空を指差した。
「出会う、場所が、違えば、良き友に、なれたはずなのに……」
 男は、さっきまでルーシルアが思っていたことを口にした。
「もっと、楽に、死なせてくれるんじゃなかったのか?」
 男が笑った。ルーシルアも弱々しく笑いを返した。
「この街は……腐ってる……。すべては……あの男の……市の長の……」
 男が呟いた刹那、数十本の矢が飛んだ。背にそれは刺さり、男はうつむせにたおれた。
「……ウィリディン……」
 男の目は虚ろに空をたたえ、微笑していた。腕を押さえながら歩み寄り、ルーシルアはその目を見つめた。
 砂を踏む音がし、そっちを見ると壮年の男が沢山の兵士を従え、歩いてきた。その格好から、すぐにそれが市長だと知れた。そして、その兵士がウィリディンにとどめを刺したのだとも知れた
「見事だ」
 杖をつきながら男は言った。
「名は?」
 ルーシルアは今にも噛みつきそうな眼で市長を見た。
「ルーシルア・アファン」
 無愛想に答えた。
「アファン君、すこし、いいかな?」
 ルーシルアが頷いた。
「シャン、傷の手当てをしてやれ」
 市長が言うと、さっきの女が近づいてきた。
「腕を」
「いらない」
 手をさしのべる女の手を左手ではじいた。
「……止血だけでも」
 そう言うと、右腕に暖かい精緻な〈式〉が現れ、血が静かに固まり、血が止まった。
「……ありがとよ」
 さらに包帯を巻こうとする女の手から包帯をぶんどった。
「それくらい自分で巻く」
「終わったのなら、こちらへ」
 市長が言った。砂の上をゆっくりと歩いていく。








〈式〉=魔法。OK?
あとは、とくに話すこともないなぁ。
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