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■二十二頁

 会場が湧いた。小さくも、大きくも、賛嘆の声に包まれた。
 右を向き、下方から上へ――。右に居る狼の上半身と下半身を断裂する。
 前を向いたまま、右手に持った剣を左の腋から通す。
 すぷり、と丁度とびかかってきた狼の眉間を貫いた。そのまま腋から剣を抜く。左腕に遮られた狼の身体が、剣を抜くにしたがって地面に落ちた。
 わずか数秒で、三匹の狼を平然とした顔で返り血一つ浴びず、斬り殺した男。会場が、その男の存在に息を呑んだ。静寂が、その場所を包み込む。
 雷鳴のように轟く音が聞こえたかと思うと、それが足音だとしれた。
 ルーシルアの背丈の倍以上もある巨大な男。熊を思わせるその体躯。上半身は裸で、これもまた大きい斧斤。筋骨隆々の体の中から滲み出る厳しさと優しさ。それを感じて、出会う場所を間違えた、そう思えた。もっと、別の場所で出会えれば、良い友になりえたかもしれない。
「勝敗の決着は、どちらかが死ぬまでです」
 女が言った。
 目を伏せ、歯を食いしばった。
 目を強く開き、そこにあるものを見据えた。
「きっちり、楽に殺してやる」
「宜しく頼むよ」
 男は優しく告げた。
「名は?」
「ウィリディン・グルーベン。お前は?」
「ルーシルア・シンズ・アファン。ミドルネームは趣味だ」
 男は微笑んだ。
 観客席から声が飛ぶ。どうやら待ちきれないらしい。
「それでは、始めよう。どちらが、市の長を守るに値するか、決めよう」
 ルーシルアは頷きもせず、後へ跳んだ。
 剣を構えた。小細工は、この男に通用しないだろう。
 ぶんっ。男が斧を振った。
 鼻の頭すれすれで通り過ぎる。空気が焦げるほどの速さ。苛烈さ。そう感嘆する間に第二隙が来る。
 すべての攻撃を、すれすれで避ける。跳ぶ。しゃがむ。裾を斬らせ、裾を斬らせ、相手に「あとちょっとで当たるのに」という焦りを与える。
 振れば振るほどその攻撃は大振りになっていく。
 避ける。そのことだけに集中する。
 男の斧が、高く掲げられた。
 ――来た……
 その強烈な一撃を避け、踏み込み、斧を持つ方の腕へ通り抜ける。
 ルーシルアが右の二の腕を押さえた。ぱっくりと裂け、赤い血がとめどなく溢れ出る。苦痛に顔を歪ませながら、ふり返った。











ルーシルア最強伝説(笑)
強くなっていく主人公は書くのが面倒だ(黙
プリズーン編まだまだ続く
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