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■九頁

「ありがとう」
 ブスタはやさしく微笑んだ。
「私はこの店の主として、当然のことをしたまでです」
「……なんだか、逆に眠れなくなったな」
「まだ月は高く上がっています。すこし、昔話でも聞いてくれないでしょうか」
 ルーシルアは頷いた。
「昔、ある旅人が居たそうです。その旅人は世界に絶望していました。堕落した政治に、二極化する市民。増える争いごと。すべてを彼は、見続けてきました。そして疲れ果て自分が休むための街を探すとき、とあるできたばかりの村にやって来たそうです。雨が降っていました。うるさいほど活力に溢れた街。ですが彼はすぐにその街の闇を見いだしました。孤児の多さに彼は絶望し、その街を後にしようとしたときです。歌声が……」
 ブスタはゆっくり吐き出すように言葉を選びながら言う
「……歌声が、聞こえたんです『Appearance of me who reflects in broken mirror. It was thought that it was the world.……Ah. It is me that it was broken.(鏡に映る自分の姿。それが世界だと思っていた。……ああ、壊れていたのは自分の方だ)』旅人はふり返ってみると、そこには一人の、小さな女の子が居ました。旅人が、その子を抱き上げようとした瞬間、その子は幻のように消え去り、雨もあがっていました。『雨上がりに見た幻』旅人はそう呟き、村に一つの店を作ったそうです。」
 ブスタは懐かしむような顔で笑っていた。
「呪いが、祝福に変わることを祈って」
「……呪い……なぜ、それを?」
 ブスタは笑った。優しい微笑みだった。
「世界に生まれるすべての者が、呪いを背負っているのですよ」
 ルーシルアはやさしいほほえみを浮かべ、サークナヤをやさしく、起こさないように抱くと、部屋に上がっていった。
「呪いが、祝福にならんことを」
 その声は、ルーシルアには届いていなかった。

 ルーシルアは驚愕した。
 古びた木造の宿。今にも倒れそうなカウンター。腐った椅子。虫に食われた机。ブスタや、歌い手の女は居ない。天井の屋根も壊れ、砕け、昨日の雨なんてまるで嘘のように、すっきりと晴れた空がそこにあった。
 サークナヤも驚き、きょろきょろしている。宿から飛び出すと、そこには古びた廃墟の山があった。
「……俺たちの、見ていたものは、一体どこに?」
『呪いが、祝福にならんことを』
 声が聞こえた。
「……」
「……悪い冗談だ」

これが、「雨上がりの幻亭」のおちです。
主人公達が見ていた者はただの夢、幻、幻想だと思っていただいて結構!
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