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■八頁

「……あなたと、旅が、したかったんです」
「旅だぁ?」
 あきれかえったような顔。
「話によるな」
 ファンタンはルーシルアと間を取り、どちゃ、っと音のする巾着袋を投げた。
「……なるほど、どうやら、遊びではないらしい」
 きざったらしく言う。ルーシルアはその巾着袋を取った。
「わかった。わかったよ」
 ルーシルアがそう言うと、ファンタンはふ、っと微笑んで、風になって消えた。まるで、恋人に別れを告げる幽霊のような笑みを浮かべながら。

 ルーシルアが店に戻ると、店主がカウンターに座って、少女のほほえましい寝顔を穏やかな顔で眺めていた。その肩には毛布がかかっている。
 それを見た瞬間、ルーシルアはあぁ、まずいなと思った。店にはもう誰も居らず、隅の台の上で、神性の髪である銀髪の女性が竪琴を弾いている。その美しい響きが、より静寂を引き立たせていた。
「あ、わるいね。マスター。もう、営業は終わりだろうに」
「ブスタといいます。あなた方が私達を求める限りは、眠らないよ」
 ブスタは言った。
「最後に一曲、彼女の歌を聴いてくださらないか? 彼女は、耳が聞こえない。歌を唄うことだけなんだ」
 少し哀しそうな――やさしい髭面で微笑んだ。
「わかりました。……おねがいします」
 ブスタが合図をする。女性が頷く。
 琴が、震えた。
 その瞬間、引き込まれた。呑まれるように。
 女が唇を開いた。歌が響く。
 呪われた身体で、たった二人のために唄う。それは精緻な織物のように混じり合い、重なり合い、そして消えることなく、そこにあった。
 誰もが呪われ、それを祝福に変えることができる……そういう意味の詞で、神代の言葉だった。意味は殆ど理解できないが、それのすべてが流れる河の如く美しくながれていくようで、すべてが完成されたガラス細工のようで美しく、そして触れる事すらできない。
 誰かに似ている、そう思った。
(それが誰か、わかってるくせに)
 ふ、と声がした気がする。気のせいだ。そう思って目を閉じた。
 弦が震え、いつの間にか歌は終わっていた。
 拍手が上がった。それが自分の手だと理解するのに時間がかかった。
 女は微笑むと、一礼した。

ファンタンが仲間になった!

ここいらは、「Why?」とか思いながらみないでください。
色々おかしくなるので! 色々!
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