■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■一頁

流用。
何も手は加えていません



 道の碧煉瓦がしだいに色を変えてゆく。碧の濃度が増していき、次第には真っ黒になった。
 〈碧の国〉から〈黒の国〉まで、舗装道路を一直線に歩けば、半月もせずに両国を行き来できた。そんな路を、一人歩く男が居た。周りには森があり、昼過ぎの時刻で、たまに馬車がその男の横を走り抜けたりもした。
 男が森を抜けると、石を積んで作られた立派な城壁が見えた。色は、真っ黒である。この地域の石や岩はどれも黒く、強固だった。その岩を積んで城を築き、できた国が〈黒の国〉である。建物も、路も、すべてが吸い込まれるような黒なのである。
 男は、そんなものは気にもせず、目の前を見つめていた。
 前の方、そう遠くはない方に、一人の少女が駆け、その後を一人の褐色肌の男が追うようにして走ってくる。
 少女は男に気がつくと、男の後にさっと隠れた。
 男が困惑する中、褐色肌の男が追いついた。
「……さあ、帰りましょう。」
 少女は帽子を深く被り、知らない振りをしている。よく見るとこの褐色肌の男は、兵士であるらしい。片手に槍を持ち、腰には剣がさしてあり、黒い鎧を着込んでいた。
「……」
 少女は答えない。
「……あの方が心配します」
 兵士のその発言に、少女はひどく反応した。触られたくない醜い傷に、無理矢理触られた、と言うような反応だった。顔は下を向いて手を固く握りしめている。
 すると、今まで黙っていた男が、急に喋りだした。
「おまえ、バッムンか?」
 バッムンと呼ばれた兵士は不審そうに男の顔を見つめた。艶のある黒髪を顎よりも少し首の方にいったところで切りそろえ、前髪は目にかかるかかからないかのところで切ってあった。
 端整な顔立ちの男が眼を瞬かせた。
「……ルーシルアか」
 男が笑って頷いた。
「悪い癖は、まだなおってないんだな」
 バッムンはルーシルアを睨んだ。
「お前こそ。〈碧の国〉いちの有名人のくせに」
「お前は〈朱の国〉いちの有名人だろ?」
 二人は表情一つ変えずに罵りあいをしている。遠目から見れば、爽やかな懐かしい旧友同士の仲のいい会話のようにも見えるが表情の変わらない分、少女には気味の悪いものに見え、こわかった。
「とにかく、その少女を渡して貰おうか」
 バッムンが終わらない罵りあいに終止符を打った。
「いやだね。可哀想じゃないか。俺がお前に引き渡せば、この子は一生俺とお前を恨むことになりかねないんだろう?」
関連記事
スポンサーサイト
タグ : *

■コメント

■コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 

プロフィール

KANTA

Author:KANTA
Are you alien?

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。