■2009年07月

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■九頁

「ありがとう」
 ブスタはやさしく微笑んだ。
「私はこの店の主として、当然のことをしたまでです」
「……なんだか、逆に眠れなくなったな」
「まだ月は高く上がっています。すこし、昔話でも聞いてくれないでしょうか」
 ルーシルアは頷いた。
「昔、ある旅人が居たそうです。その旅人は世界に絶望していました。堕落した政治に、二極化する市民。増える争いごと。すべてを彼は、見続けてきました。そして疲れ果て自分が休むための街を探すとき、とあるできたばかりの村にやって来たそうです。雨が降っていました。うるさいほど活力に溢れた街。ですが彼はすぐにその街の闇を見いだしました。孤児の多さに彼は絶望し、その街を後にしようとしたときです。歌声が……」
 ブスタはゆっくり吐き出すように言葉を選びながら言う
「……歌声が、聞こえたんです『Appearance of me who reflects in broken mirror. It was thought that it was the world.……Ah. It is me that it was broken.(鏡に映る自分の姿。それが世界だと思っていた。……ああ、壊れていたのは自分の方だ)』旅人はふり返ってみると、そこには一人の、小さな女の子が居ました。旅人が、その子を抱き上げようとした瞬間、その子は幻のように消え去り、雨もあがっていました。『雨上がりに見た幻』旅人はそう呟き、村に一つの店を作ったそうです。」
 ブスタは懐かしむような顔で笑っていた。
「呪いが、祝福に変わることを祈って」
「……呪い……なぜ、それを?」
 ブスタは笑った。優しい微笑みだった。
「世界に生まれるすべての者が、呪いを背負っているのですよ」
 ルーシルアはやさしいほほえみを浮かべ、サークナヤをやさしく、起こさないように抱くと、部屋に上がっていった。
「呪いが、祝福にならんことを」
 その声は、ルーシルアには届いていなかった。

 ルーシルアは驚愕した。
 古びた木造の宿。今にも倒れそうなカウンター。腐った椅子。虫に食われた机。ブスタや、歌い手の女は居ない。天井の屋根も壊れ、砕け、昨日の雨なんてまるで嘘のように、すっきりと晴れた空がそこにあった。
 サークナヤも驚き、きょろきょろしている。宿から飛び出すと、そこには古びた廃墟の山があった。
「……俺たちの、見ていたものは、一体どこに?」
『呪いが、祝福にならんことを』
 声が聞こえた。
「……」
「……悪い冗談だ」
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■八頁

「……あなたと、旅が、したかったんです」
「旅だぁ?」
 あきれかえったような顔。
「話によるな」
 ファンタンはルーシルアと間を取り、どちゃ、っと音のする巾着袋を投げた。
「……なるほど、どうやら、遊びではないらしい」
 きざったらしく言う。ルーシルアはその巾着袋を取った。
「わかった。わかったよ」
 ルーシルアがそう言うと、ファンタンはふ、っと微笑んで、風になって消えた。まるで、恋人に別れを告げる幽霊のような笑みを浮かべながら。

 ルーシルアが店に戻ると、店主がカウンターに座って、少女のほほえましい寝顔を穏やかな顔で眺めていた。その肩には毛布がかかっている。
 それを見た瞬間、ルーシルアはあぁ、まずいなと思った。店にはもう誰も居らず、隅の台の上で、神性の髪である銀髪の女性が竪琴を弾いている。その美しい響きが、より静寂を引き立たせていた。
「あ、わるいね。マスター。もう、営業は終わりだろうに」
「ブスタといいます。あなた方が私達を求める限りは、眠らないよ」
 ブスタは言った。
「最後に一曲、彼女の歌を聴いてくださらないか? 彼女は、耳が聞こえない。歌を唄うことだけなんだ」
 少し哀しそうな――やさしい髭面で微笑んだ。
「わかりました。……おねがいします」
 ブスタが合図をする。女性が頷く。
 琴が、震えた。
 その瞬間、引き込まれた。呑まれるように。
 女が唇を開いた。歌が響く。
 呪われた身体で、たった二人のために唄う。それは精緻な織物のように混じり合い、重なり合い、そして消えることなく、そこにあった。
 誰もが呪われ、それを祝福に変えることができる……そういう意味の詞で、神代の言葉だった。意味は殆ど理解できないが、それのすべてが流れる河の如く美しくながれていくようで、すべてが完成されたガラス細工のようで美しく、そして触れる事すらできない。
 誰かに似ている、そう思った。
(それが誰か、わかってるくせに)
 ふ、と声がした気がする。気のせいだ。そう思って目を閉じた。
 弦が震え、いつの間にか歌は終わっていた。
 拍手が上がった。それが自分の手だと理解するのに時間がかかった。
 女は微笑むと、一礼した。
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■七頁

「お前は、待ってろ。場合によっては、危険な仕事もするからな」
 サークナヤは怪訝な顔をした。
「いいから。待ってろよ。追っ手が居るかもだ」
 そう言うと、一気に外へ駆け抜けた。
 雨もまだ降っているが、気にすることなく、歩き出した。村の中央掲示板へ行き、仕事を確認する
「『妖獣退治・千ウィジ』か。結構いい仕事だな」
 そう言うと、それが書かれた紙を引きはがし、となりの市役所に持っていった。灰色の壁で覆われた、少し寂しい小さな市役所だった。
 手続きを済ませ、情報を得ると、すぐさまそこへ向かう。森の中に、妖獣達が居るらしい。久しぶりの、妖獣退治に少しうきうきし、空に雲がかかっているせいか日が暮れている事を忘れていた。
 日が暮れ、やばい、と気がついた時には既に遅かった。数々の虫、獣がルーシルアを取り囲んでいる。
「くそ、忌々しい呪いめ。」
 剣を抜いたはいいが、さっきから虫ばっかり切っている。肝心の妖獣には全く出会えてなかったし、少しずつ体力が削られ、消えようと地面に沈む太陽によって視界が暗くなるなか、ルーシルアは何もできずにいた。
 一匹の狼が飛び付こうとしたのを避けると、狼は第二撃を放とうとした、刹那――。
 風が、吹いた。一陣の風が。
 それは駆け抜ける様にして、虫と獣たちを追い払うと、妙な静けさをもたらした。それは、ルーシルアにとって恐怖でしかなかった。
 命が危うい。そう本能が告げていた。だが、背中を見せて逃げ出せば、確実に殺されることを悟った。
「……はっ、風の精霊か? それとも、妖獣か? ……姿を、姿くらい見せたらどうだ」 背後に気配を感じ、そこに切っ先を向けた。
 サークナヤよりも少し年の高いであろう少女が、そこにいた。
 短い緑髪。みすぼらしいフード付きのケープ。腕の袖は殆どなく、足も太股の途中から裾が千切れたようになっていて、その美しく白い肌を露出させている。
「……まさか、妖獣の正体がお前だとは。」
 ルーシルアは刃を少女の首筋にに向けたまま言った。首筋に生えた若葉色の鱗がきらりと光った。
「……また、逢えましたね。この時を、私は待ち望んでいました」
 ルーシルアは鉄剣を納めた。
「お前に貰ったこれは、なかなかの逸品だ。」
 少女は照れくさそうに笑った。顔を逸らしてうれしそうにしている。
「……なぜ、また俺の前に現れた」
 ルーシルアの顔が厳しくなった。責めるような顔だった
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■六頁

 ルーシルアは告げた。
「次の村? 近くに村が?」
「中央街道から少しはずれたところに、村があると、昔聞いた。」
 ルーシルアは立ち上がった。
 サークナヤも何も言わずに立ち上がり、ルーシルアの後をついていった。

 太陽が一番高く昇る少し前、二人は村にたどり着いた。大きな木製の門には、『エインスの村』と書かれている。今は、ルーシルアが兎の骨やらを売りに行っている。
「結構金になったな。最近、骨が品薄らしい」
 ルーシルアはそう言いながらサークナヤの居るところに戻ってきた。
「……雨が降りそうだな」
 ルーシルアは空を眺めながら言った。
「どうして、毛皮や骨を売る?」
「毛皮は衣類に、骨はスープのだしにするのさ。よく知らないが。まあ、売れた売れた。」 ルーシルアはそう言うと、宿舎を探した。それは、案外はやく見つかった。
『雨上がりに見た幻亭』
 ルーシルアは、その奇妙な名前を一発で気に入った。
 小雨も降り出したので、意気揚々と扉を開け、中にはいると、騒々しい酒場だった。一回は食事場も兼ねていて、二回が宿として泊まれる様だった。
 その不快ではない騒々しさ、店内にたちこめる摩訶不思議な雰囲気も、すぐ気に入った。いい場所に出会った、と思った。
「部屋が、一つ空いてないかな? 人数は二人。」
 カウンターにいるずんぐりとした中年の男に言った。髪は赤毛で、厳粛な雰囲気を纏っているのに、どこか上品なおかしみが感じられた。
「へぇ。珍しいね。兄弟かい?」
「まあね。腹違いだけど」
 さらり、と嘘を吐いたルーシルアをサークナヤが尊敬と微妙な気持ちが混ざり合った眼で見つめた。
「そいつは、大変だね。少しおまけするよ。」
「ありがとう。」
 そう言って店主は、鍵をルーシルアに渡した。
「二階の一番奥。」
 とだけ伝えた。
 部屋の一番奥、伝えられた部屋に入った。
「へえ。結構しっかりしてるな」
 ベッドを押したりしながらルーシルアが言う。
「よし、じゃあ、何か金になりそうな仕事を、聞いてくるかな」
 ルーシルアは、部屋から出た。ついてこようとするサークナヤに、待っていることを告げた。
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■五頁

「……風の、精霊さ」
 説明するようにルーシルアが言った。
 二人の後には、一陣の風が、追いかけるように奔った。

「……ッ」
 サークナヤが何も言わずについてきているのを確認しながら、一行は確実に歩を進めていた。
「休むか」
 ルーシルアがそう言った。もう限界だと、ルーシルア自身感じていた。サークナヤの限界を、だ。 
大きく飛び出した岩や樹の根を椅子代わりに座った。
「なぁ、どこを仲介していくんだ?」
 ルーシルアは答えず、地面に埋め込まれた濃紺の煉瓦を指差した。
「……中央街道……」
 ルーシルアは頷いた。
「ま、ゆっくり行こう。急ぐわけでもないだろ?」
 サークナヤは何も言わず、ただ地面を眺めていた。
 ルーシルアも、それにつられて地面を見た。小さな虫たちが蠢いている。
「すまない」
 ふと、それを誰かの声が遮った。
 紅い神服を着た神官で、腰に差してある剣には鍔と柄の区別も付かないくらいに鍵鎖が何重にも巻かれて、抜剣が出来なくなっていた。
「なんだ?」
「私は宣教神官の、クンファーと言う。この近くで、私と同じ服を着た、女性の神官を見なかっただろうか。名は、リセというのだが。」 
「しらん。」
 ルーシルアはさっぱり言い切った。かなり清々しい言い方で、相手の反論、疑問は一切受け付けない。と言うような言い方だった。
「そうか。では、私は近くの街にいるから、もし見つけたならば、声を掛けてくれ」
「わかった。みつかれば、な」
 クンファーは神服を翻し、獣道とは言えないような、そもそも道なのかすら怪しい偶然その一線だけに草が生えなかったと言うような道を、狼のように走り去っていった。そこだけ見れば、神官には見えなかった。
「……恋仲か」
 ルーシルアは、呟いた。さっきの神官に向けて言った。
 そうしていると、サークナヤの身なりが気になった。泥で汚れた純白のドレスに、ハイヒール。帽子を被っているその姿は、もう少し年を取っていれば、画家から絵のモデルに選ばれそうである。だが、それは旅には向いていない。
「次の村で、金になりそうな仕事を、探そう」
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■四頁

さしい。今日は良い日になりそうだ、そう思った。
 〈式〉の外に目をやると、野ウサギが一匹倒れている最近いつもそうなのだ。
 式の外に出て野ウサギをひろう。硬直もしておらず、ま新しい。狩ってから数分も経ってない。
「……うれしいけど、気味がわりいなぁ」
 独り言である。しかし、まだ近くにいるはずの顔も、名前も知らない誰かに言っているつもりだった。風が吹いて、背の低いところに生えた木の、葉がかさかさと乾いた音を立てた。
 とりあえず、食える物は食うのがルーシルアの動物に対しての礼儀だった。
 ナイフで捌いて、調理できるような状態までにすると、ルーシルアは腰の火種箱から火の種を出すと、そこにおいた。すると、薪もなしに、火が燃えさかった。そこに兎の肉を放り投げる。
 そろそろ、やけたかな、と思った瞬間、間抜けな声が聞こえた。
 サークナヤである
「お早う」
「おはよう」
 多少は寝ぼけているようだったが、すぐにルーシルアの傍らに座った。
「……暖かい……」
 細い声だった。今にもかき消されてしまいそうだった。本当に、しみこむような声だった。
「……よし、もう、肉が焼けたかな」
 そう言って、指を横に一直線振る。火が、まるで最初から無かったかのように消え失せた。焼けた後もなく、丁度よく焼き目の付いた兎肉があった。
「……友達がくれたんだよ。便利な火種だろ?」
 そう言うと、肉の一つをサークナヤに渡した。
 サークナヤは黙々とそれを食べ始めた。まるで何週間も食べ物を口にしてなかったかのようだった。
 ルーシルアはと言うと、兎の骨やらを加工している。兎の毛皮やら、骨やらが器用に変化していくのをサークナヤが見つめた。
「これを売れば、一日分の宿代くらいは稼げる」
 サークナヤが丁度食べ終わるころにルーシルアの作業は終わった。ルーシルアは兎の肉を一つ口に放り投げると、残った肉片の一つを大きな石の上に置いた。
「……ちゃんと、喰えよ」
 サークナヤが首を傾げたが、ルーシルアは何も答えず、荷物をまとめた。と言っても、外に出している物は少ないし、持っているものも異様に少ない。腰の周りに様々な巾着袋が下がっている。
 びょう、と乾いた風が吹くと、石の上にあった肉片が、消えた。
 サークナヤが目を丸くした。
「いくぞ、サクナ」
 サークナヤが言われて、少しとまどいながらも頷いた。
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■ゼロッキーのパクリ(え

パクリがどうした!(え
じゃあ、こっちは爆弾編で(おい……)
後ろについてるのはあだ名てきなね! うん、いま考えた!(黙
あ、知らない人と、大御所の方は引いています。だってこわいもん(え



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■三頁

けの効果もあってね」
 ルーシルアはそう言うと、式の中に寝ころんだ。
「『お嬢ちゃん』じゃない。私には、れっきとした名前があるんだぞ」
 ルーシルアはひらひらさせながら言う。
「へえ、どんな名前なんだい?」
「サークナヤだ」
 ルーシルアの手が止まった。止まり、震えている
 その手を握りしめ、空を睨んだ。空は木々の葉で隠れ、見えない。しかし、ルーシルアには空が見えた。一つ、月だけが輝いている。ルーシルアには、確かにそれが見えた。
「……『いつか、いっしょに』か」
 ルーシルアが呟いた。
「……サークナヤ……」
 苦い薬をゆっくりかみ砕くようにルーシルアが言った。少女が不思議そうに首を傾げる。
「俺は、ルーシルア……ルーシルア・シンズ・アファンだ」
 男が呟くように言った。
「……なあ、ルーシルア、一つ、私に頼まれてくれないかな?」
 サークナヤが言い、ルーシルアが体を起こした。その顔を見て、サークナヤはぎょっとした。さっきまでの健康的な顔が、青白くなっていたからだ。
「ど、どうした?」
「いや。なんでもない、昔のことを思い出しただけだ。で、なんだい? 頼み事って。」「……私を、〈碧の国〉まで案内してくれ」
 そう言われ、ルーシルアは病的な笑みを浮かべ、空を見た。そこにはもう月が無くなっていた。
 その横でサークナヤは、ああだこうだ思案している。断られると思ったらしい。その光景を見て、ルーシルアはまた別のほほえみを浮かべた。
「ええと、うぅん、何が良いかな……旨い物とかか?」
「おい」
 サークナヤを、ルーシルアは見た。サークナヤもルーシルアを見ている。ルーシルアのこれから言うことに期待しているようだった。
「連れて行ってやるよ。サクナ。」
 いきなり愛称で呼ばれ、サークナヤはどきっとした。サークナヤはするすると頭に手を伸ばし、帽子を取った。頭の上でまとめられていた髪紐を取ると、さらさらとした腰ほど間である髪の毛が現れた。
 その様子に、ルーシルアは笑った。悪い冗談だ。うりふたつじゃないか。俺は呪われているんだ。そうだろう? 笑えない。そんな風に思っていた。
 サークナヤが式の中に入ってくると、ルーシルアは身体を横にして、目を閉じた。

 目覚めると、背筋を伸ばしながら昇ったばかりの朝日を眼にうけた。矢のように鋭いが、や
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■二頁

 ルーシルアが言うと、バッムンは自分を笑うように鼻を鳴らした。
「たしかに、そうだろう。そうなるだろうな」
 ルーシルアは意外そうに目を丸くした。予想外だった。もっと反論してくるかと思ったのに、とルーシルアは心の中で残念に思った。なぜだろうか、そういう気になった。
「おい、いいか。お前は、ここには居なかった。その子は、一人で森の中に逃げ隠れ、俺の眼をごまかした。わかったか?」
 バッムンが何を言おうとしているのかはわかった。
「お前……いいのか?」
 半信半疑だった。不意を打って殴られるかもしれないと思ったが、どこかそれは無いと確信できた。
「行け。俺だって、大切なものは守りたいのさ」
 ルーシルアは少女を肩に抱えた。少女が喚くのは全く気にしていなかった。
「……後悔するなよ」
「しないさ。自分で選んだことだ」
 ルーシルアとバッムンは、しっかりと視線をまじえ頷きを交わすと、ルーシルアは森へ、バッムンは城へ、駆けていった。二人とも、同じ事を呟いた。
「あいつ、変わったな」
 それはまさしく、久しぶりに会った懐かしい旧友同士の言葉だった。 

 日も暮れかけ、森の中ははやくも眠りにつこうとしていた。煉瓦路を通る馬車も次第に少なくなり、ついに途絶えた。
「……」
 森の中の少し場所が開いたところで、黒髪の男が熱心に〈式〉を書いている。円の中に色々な文字とも記号とも判別のつかないものを書き入れ、〈式〉を終わらせる。
 ルーシルアは、ある特定の式の中で寝なければ、自分のある特性を押さえられないからだった。その様子を退屈そうに少女は見つめた。
「よし」
 ルーシルアが手に持った白い円筒形の物を腰に備え付けた小物入れにもどすと、二本ある剣の鞘同士が当たり、音を出した。
 しかし、鉄剣が一本あるのに対し、鞘は二本あった。中身の無いからの鞘は装飾も流麗で美しく、本体もさぞ美しいだろう、と少女はぼんやりおもった。
「なぜ、式を書くんだ? そのままでも寝られるじゃないか。この国は一年中温暖だぞ」
 少女が問うた。
「俺の体質でね。外で寝るときは、これを書かないといろんな動物が寄ってきて、寝れてモンじゃない」
「へえ」
 少女は適当に返事した。
「お嬢ちゃんも、この式の中で寝た方がいい。温暖でも、狼くらいは出るだろ? これは獣よ
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■一頁

流用。
何も手は加えていません


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Author:KANTA
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